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一年ほど前、ニートの男と知り合った。
 
かれは当時26歳、高校中退だそうだ。
 
ふたつ趣味があるらしい。
 
ひとつはラノベを読むこと。ただし神坂一に限る。
 
もうひとつは、ギターだそうだ。アコギ。
 
暗い非モテかと思うかもしれないが、かなりのカワイイ系イケメンだった。
 
身長は180ぐらいあった。ファッションもおしゃれで、ブーツを履いていた。
 
背が低い男が、無理にブーツを履いているのとは違い、とても似合っていた。
 
だが声が小さかった。というか、全体的に控えめな印象だった。
 
体の大きさのわりに、存在感が薄かった。
 
今まで女性と付き合ったことはないらしい。
 
甘やかされて育ったのかと思っていたが、そうではない。
 
高校中退後はすぐに工場(ピッキング)で働いたそうだ。
 
「作業は単純だったけど、仕事が終わると妙な疲れがあった」と言っていた。いまは無職。
 
兄が一人いるらしいが、とび職だと言っていた。パチンコ狂いで、貯金はないらしい。
 
父親は寿司職人だったそうだが、もう亡くなったと言っていた。
 
そんなDQNな家庭の子なんて、どんなDQNかと思うかもしれない。
 
けれど彼はすごく礼儀正しく、言葉遣いも丁寧だった。
 
バイトで事務作業を手伝ってもらったが、エクセルなどの使い方もすぐに覚えていた。
 
家にパソコンはないらしい。しかし、速度は遅いながら、タッチタイピングもできたいた。
 
公共の施設などに通って、練習したそうだ。
 
今までやった仕事は、ほとんど工場の単純作業か清掃だったらしい。
 
年をとってきたので、事務の仕事をしたいと言っていた。
 
だが高校中退なので、なかなか厳しいのだそうだ。
 
「けど、しょうがないですね」と、彼は淡々と言った。

 
 
source : Qetimblr

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